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私たちは、経営コンサルタントとして多くの中小企業とかかわりがあります。
そこで気がつくのは、それらの中小企業の多くは、マーケティングの専門部隊を持たず、マーケティング戦略や活動に対して個別の予算や経営資源の割り当ても行っていないという事実です。現代は、どんな企業であれ例外なく、マーケティング活動抜きで商品を売ることは大変な時代です。
そういった企業は、ある時に急に社長や管理職が「うちもマーケティングをやらないとまずいな!?」と、なることが必ずあります。
しかし、急にマーケティングと言い出しても、社内には専門家もいなければ、経験者もいません。
社外のコンサルタントを入れることもひとつの選択肢ですが、高額な経営コンサルタントをむやみやたらに入れることは中小企業では控えたいところ。
では、どうしたらいいのか!っと、聞こえてきそうですが。ここで、まずお伝えしたことは、「貴社では、馴染みのないマーケティングについてあれこれ悩むよりも、目の前のことで当たり前にすべきことがありますよ!」という企業が、意外と多いということ。
この章では、そんなマーケティング活動を本格化させる前の企業関係者へ向け、そのまえに確認していただきたい事柄をまとめてみました。
参考になれば幸いです。
本章で学べる事
- マーケティングを必要と感じた企業のよくある状況
- すぐに整理すべき4つの要素
- 4要素整理の進め方とその後
マーケティングを意識した会社によくある状況
“出来る”のに”やってなかった”ことがある
マーケティングについての専門家が社内にいない場合でも、マーケティング戦略の肝としても使える基本的な情報整理や分析は、実は通常はどんな会社でも整理することが出来ます。
ただ、ここで言う”出来ます”とは、会社に在籍する人員の能力によってやってやれないことは無いという意味であり、現実問題としては、これからお伝えする内容を”出来ていない”企業が、非常に多いのです。
マーケティング知識がなくとも、ほとんどの会社はマーケティングの基礎的な分析は”出来る”のですが”やれない”という状況。
実行できる能力があるのに、やれない、実行できない?何故でしょうか?
理由は、人間の習性として、日常業務の中では、馴染んだ繰り返しの仕事や、緊急度の高い仕事に目が行ってしまい、それらを消化することで毎日が過ぎて行ってしまうためです。
とても重要な仕事なのだけど、今日やらなくても良い、また、その仕事内容は日常的には行わないので何から始めれば良いかが分からない。こういった仕事は、明日明日へと先延ばしされながら永遠に実行されないものです。
マーケティング活動の最初にすべきこと
マーケティング活動で、まず行うべき情報整理が4つあります。
ビジネスモデル、商品、顧客、提供価値、です。
先ほども言いましたが、これらは、必ず、あなたの社内の人材能力で整理することが出来ます。
しかし、いざ、整理してみると、以外に手間取ることになるかと思います。普段は頭の中にあるので大丈夫と思っていた事でも、いざ言葉や図式を使い明確化しようとすると、意外と苦戦するものです。
それでも、安心してください。必ず、あなたの社内でこの仕事は仕上げることが出来ます。そして、難しいマーケティングの話や、その活動に予算や人員を張り振る前にやることに価値のあることであると考えます。
整理すべき4つの要素
ビジネスモデル
ビジネスモデルとは、「ヒト・モノ・カネの流れを含めたビジネスの収益の構図」を簡単な図形と言葉で表現したものです。まずは、直感的で簡単なピクト図という表記方法で整理するのがよろしいかと思います。
ピクト図のイメージはこんな感じになります。
実際に、ピクト図を記述するためのテンプレートを、こちらに用意しております。
ご自由に、お使いください。
また、ビジネスモデルについては、以下に詳しく書いておりますので、こちらの記事も参考にしていただければと思います。
商品
ビジネスモデルに出てきた自社商品/サービスについての情報を整理します。自社商品/サービスについての掘り下げる観点ですが、以下のような視点で考えをまとめるとよいでしょう。
- 商品/サービス概要
- 商品/サービスの特徴を一言でいうと(シンボル的な特徴)
- 商品/サービスのブランド力
- 商品/サービスの特徴
- 品質面
- 地域制
- 希少性
- 独自性
- 専門性
- 本質/付随
- 必需品/嗜好品
商品/サービス分析のための無料テンプレートも用意しております。
顧客
自社に収益をもたらしてくれる顧客についての洞察をまとめます。
実際に、自社の顧客はどんな人たちなのかを、言葉で説明しようとするとすぐに出てきますでしょうか?マーケティングに対応する組織や人員を持たない状態で、これがスッと出てくる企業は、そう相違ないと思います。
顧客については、こちらのような視点でまとめるのがよろしいでしょう。
- 顧客の印象
- 顧客の特徴を一言でいうと
- 顧客についての情報の扱い(収集する仕組み、データの管理、データの活用状況について)
- 属性情報(性別、住所、世代、好みなど)
- 連絡先情報
- 取引情報
- 顧客との関係性
- 自社と接点を持つ方法
- コミュニケーションの厚さ
- 信頼関係の厚さ
- 営業の頻度(電話、メール、店頭、など方法は問わず)
- リピーターの増加状況
- 優良顧客の育成状況
- クレームや要望への対応
顧客分析のための無料テンプレートも用意しております。
提供価値
最後に、ビジネスモデルの流れに沿って自社が顧客との間で提供する価値についてまとめます。
提供される価値は、目に見える商品そのものはもちろん、それに付随するサービスやブランド、顧客の満足感なども含めて考えます。
これらは、以下のような視点でまとめてみましょう。
- 自社が顧客に与える価値
- 価値を最大化するために行っている事
- 価値の伝え方
- 機能的(利便性、合理性)側面の伝え方
- 情緒的(感情、喜び、共感)側面の伝え方
- 提供価値の特徴
- 専門性
- 独自性
- ノウハウ提供
- 顧客との信頼感
- ブランド満足
- 技術力
- こだわり、品質
- 付随サービス
- 体験、情報提供
価値分析のための無料テンプレートも用意しております。
4要素整理の進め方とその後
4要素を実際に整理する
自社事業のマーケティング活動の肝となる4つの基本要素が分かったろころで。次は、ビジネスモデル、商品/サービス、顧客、提供価値の整理ですが。社内の人員で、どのように行えばよいのでしょうか。
やるべきことは、まず情報整理の担当者を決め、必要な時間を確保させることになります。
また、情報収集は、できれば担当者1人で考えるのではなく、社内でそれぞれに詳しい複数の方々から考えをまとめて提出してもらい、更に意見交換や議論の場を持つようにしたいですね。これにより、マーケティング専門家ではない社内人材でも、ある程度の質の分析が出来上がるはずです。
4要素の整理後は?
実際に4つの基本要素をまとめてみると、自然にその会社が抱える問題点が浮かび上がってくることに 、気が付くことになると思いますが。そして、この後にとりうる選択肢としては2種類あります。
①この分析をもとにより深いマーケティングの分析を行う。
②表面化した問題に対して課題設定、施策展開を行い、解決を図る。
予算や時間の制約がある場合は、②のプランを。制約が無い場合は①をじっくりと行いましょう。そして、①の後に、しっかりとマーケティング戦略も作るところまでやりたいという方は、以下の記事も参考にしていたければと思います。
本章のまとめ
・環境変化に応じた企業変革の具体的プランが描けない企業は多い。
・まずは「 “変革”の24マス整理(変革のニジマス整理)」を行うことを提案する。
・6つの企業構成要素のそれぞれに対し4つの変化深度で状況を整理。
・24マスから会社の変化に重要と思うポイントを絞り込むことで変革プランが作りやすくなる。
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