変革プランを描けない企業が、まずすべきコト

変革プランを描けない企業が、まずすべきコト

今、あらゆる企業がデジタル時代の変化に戸惑っている。  20世紀末の情報革命勃興より、インターネット、スマホ、AIが次々に登場し私たちの生活基盤は目まぐるしく変化している。これらのテクノロジーは社会の合理性や利便性を高めることにとてつもなく優れており、現代人はそれらへの依存を高めるばかりである。この流れはとうぜんにビジネスのあり方や企業運営の形へ大きな影響を与えており、デジタル化の波にうまく乗れない企業の衰退が始まっている。  そんな変化の激しい現代において、企業がしなやかに変化していくためにはどうしたらよいのか。変化の入り口に立つための分析手法を提案したい。

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

ここで学べる事

  • 企業変化の大きさ/程度の種類
  • 企業変化の対象となる構成要素
  • 企業変革のとっかかりとしてすべきこと

変化が当たり前の時代に苦慮する企業

 企業変革が必要と感じながら実効的なプランを描けない企業が増えています。

 Googleで「企業 平均寿命」と検索して目に付く記事やデータを読んでみてください。中小企業はもちろんのこと上場企業などの大企業でさえ、存続年数が縮小していることが分かります。

 主な要因は、新技術が起こす社会の地殻変動の発生間隔が短くなってきていることにあります。

 蒸気機関の登場で世の中が一変したのは18世紀後半。この第一次産業革命と呼ばれる時代は100年以上続き、同一の事業モデルでも現代に比べて長く存続することが出来ました。

 しかし、今は社会基盤の変化に一世紀以上の時間を要することはありません。20世紀終盤からつい最近までの20-30年を振り返ってみても、コンピュータ→インターネット→スマートフォンと人々の生活模式は影響を受けて次々に変化しました。そして、それに合わせて企業の衰退と繁栄のめまぐるしい入れ替わりも起こりました。

 現在も変化は続き、ビッグデータとAIを使いこなす企業が有利な環境になっています。少し先の未来では、ブロックチェーンや量子コンピュータの活用が企業競争力を高めるために重要な要素となっているかもしれません。

 同じ事業モデルで収益を上げ続けることが難しい時代なのです。

 今度は、「企業 変化」と検索してみてください。“失敗”、“対応できない”と言ったネガティブな言葉が並びます。

 企業間競争のルール変化が速くなり、昔は100年以上かかっていたものが今や10年以下でどんどん変わります。この急激な変化スピードに合わせてうまく変容できる事業モデルはまずありませんし、一つの企業が一貫して存続し続けることも本当に大変なことです。

 時代変化が加速し常に変化を強いられるなかで、どれだけの企業がうまく対応出来ているでしょうか。抜本的変化が必要と感じながらも実効的プランを打ち出せず淘汰の波にさらされている会社が多いこと。あなたの周りを見ても感じとれることかと思います。

まず「“変革”の24マス」分析をやってみる

 もしあなたの経営する会社がこの状況に当てはまるようなら、まず「“変革”の24マス(読み方は、”ヘンカクのニジマス”です)」分析を行ってみることを提案します。これは、企業変化の対象を絞りながら考えることで、具体的なプランの構築を促しその実効性を高めることに効果を発揮します。

 分析方法を説明しましょう。

 まずは、変化対象の絞り込みを行うための2つの軸を紹介します。

 一つ目の軸は、企業を構成する要素です。

 今回は米系コンサルティング大手であるアクセンチュア提唱のシックスバブルを用います。こちらのイメージにあるように、企業の構成要素を6つの要素として捉えます。①戦略、➁業務プロセス、③組織風土・文化、④ITシステム、⑤組織、⑥人材です。

 二つ目の軸は、変化の程度です。

 企業変化を考える際に“変革”という単語が多用されますが、実際は求められる変化の大きさに応じて言葉を使い分ける方が適切です。これは4つの段階に分けて考えます。①変革、➁革新、③改革、④改善です。理解を深めるために英語表現も対応付けると、①変革-Transformation、➁革新-Innovation、③改革-Reform、④改善-Improveになります。

 各段階の定義は人により違いがあるのですが、ここでは次のようなものとします。

①変革と➁革新は旧来のものをなくして新しいものを作る変化。①変革は旧来のものと新しいものの間には一切関係はないが、➁革新は旧来のものを改めて新しいものが出来ているために旧来のものからの文脈の流れがあるものとします。

 ③改革と④改善は旧来のものに起こす変化。③改革は悪い個所を直す変化を、④改善は現状からさらに良いものへと改良するものになります。

 それでは2軸の定義が理解できましたので、これらをクロスさせて24個のマスを作りましょう。

 これらのマス一つずつに、今の会社にとって必要と考える変化や直すべき点を羅列していってください。

  なお、24マスのそれぞれの分析は、最初に企業構成要素①戦略の①変革~④改善に対して行います。次は➁業務プロセスの変化について、次は…と、⑥人材まで一つずつ順番で行うようにしてください。理由は、企業構成要素のそれぞれに従属関係があるためになります。

 24マスすべてに対する整理が終わったら改めて全体を俯瞰し、会社の今に必要な変化対象を絞り込みます。例えば、「①戦略×➁革新」のマスは「 ・会社のブランド力を生かした新事業を造る 」など、会社の成長や生き残りに必要な視点であるために必要と考え残します。他も同様に重要と考えるマスは残し、該当しないマスについてはこの先では考慮から外します( 黒塗りになっているマス)。

 変化の度合いが相対的に小さい③改革と④改善の対象領域は、できれば管理職以下の現場に計画立案や実行の権限を委譲して進めたいところです。①変革と➁革新の対象となる企業構成要素は、その実行に強いリーダーシップと経営判断が求められますので、経営者を主体とした検討グループを作り詳細を詰めていきます。

 ここまでの工程を行ってみると、企業変化の方向性や施策が 以前よりも詳細に浮かびやすくなります。

そして変革の入口へ

 環境変化に対する企業変化を思うように起こせない企業に、そのきっかけとなる状況整理の手法をご提案しました。

  理由は、収益や競争力が停滞していることへ意識や焦りはあるが、企業経営者の問題設定が漠然としているために何をどう変化させればよいのかと途方に暮れるシーンが度々あるためです。

 様々な要因が絡まる大きな問題解決の糸口を得るためには、問題細分化が鉄則です。”最近おかしい!何か変革しなければ!?”というぼんやりした問題も、フォーカスする対象を企業の構成要素×変化の程度に要素分解して考えることで問題の本質が見えやすくなります。

  この要素分解ができて初めて企業変革はスタートラインに立ったともいえるでしょう。

 実際に分析していく過程でなにか疑問や質問がありましたら、いつでもお問い合わせくださいね。

 尚、”変革の24マス”分析を行っても企業変革に対して意義ある行動を起こせない場合は、組織に変革プランの作成能力が欠乏しているか、組織が変革を受け入れられない状態に陥っている可能性があるため、経営コンサルタントなどの外部専門家の協力を受けることをお勧めします。

こちらは以下に別記事をまとめていますので参考にしてください。

本章のまとめ

・環境変化に応じた企業変革の具体的プランが描けない企業は多い。
・まずは「 “変革”の24マス整理(変革のニジマス整理)」を行うことを提案する。

企業変化の24マス

・6つの企業構成要素のそれぞれに対し4つの変化深度で状況を整理。
・24マスから会社の変化に重要と思うポイントを絞り込むことで変革プランが作りやすくなる。

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